亜空間・亜の立体展
ときには,立体が平面の装いをしたり,平面が奥行きをもっていたり,
そのように見えることがあります。
詳細は…

 この展覧会は,タイトルを『亜空間−亜の立体』と称し,「亜空間」の観点から平面や立体を「亜の立体」として取り上げています。平面でありながら立体の様相をした「迷路」や,立体でありながら空間と立場を置き換える「辺の欠けた立方体」を展示します。
 身の回りに見られる立体の多くは,直方体か立方体あるいはそれらを組み合わせた形でできています。こういった形は幼い頃から見慣れているせいか,頭に思い浮かべることも平面に描かれた図から立体を読み取ることも容易にできます。
 展示する「迷路」は平面に描かれていますが,建設中の建物に見られるような柱と梁だけで構成されたもので,それを斜め上から見た構図になっています。そのためか自然とそれを立体的なものと感じ取ってしまいます。そして,迷路の通路を左右,上下だけでなく前後にも移動しようと意識がはたらきます。視線は平面上を這っていても,気持ちは迷路が織りなす立体の世界に戸惑い無くのめり込んでいきます。
 「辺の欠けた立方体」はどれも原型は立方体ですが,辺に相当する柱や梁が,太くて内部に空間が全くないものから,細くて太さがゼロのものまで,徐々に変化する状態を展示します。それらを順に見ていくと,どこかの地点で,柱や梁といった物質が立方体の主役であったのか,辺に囲まれた空間がその立方体の本体かがわからなくなってしまいます。
 平面では,まとまりのある図とその背景となる地のいわゆる図と地の関係というものがあり,状況によってはその図と地が互いに入れ替わることがあります。同様のことが,この作品から,立体と空間の間に図と地の関係を見ることができます。日常で見かける光景でも,物質と空間の関係が図と地の関係のように入れ替わることが起こっていて,そういった状況に出会える可能性がどこにでもあるように思えます。
 また「辺の欠けた立方体」で展示する立体は,立方体の辺は12本ありますが,その内何本かの辺がない形のものです。そのような形でも,無意識に欠けた辺を補って立方体と見ようとします。しかし,立方体の辺の欠けた箇所からは閉じこめられていた空間があふれ出ています。無限に広がる外部の空間と一体となっているようにも見えます。

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