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楕円球

目の前で左右の人差し指を突き合わせてそこをぼんやり眺めていると,指の間にウィンナソーセージのような形(楕円球)が挟まれているように見えてきます。視線をその状態のままにして指を少しずつ離していくと楕円球は宙に浮かびます。

これは立体視によるものです。立体視には遠くを眺めるようにして見る平行視と寄り目にして見る交差視がありますが,この場合は平行視で見ていることになります。楕円球は,指の後ろにある背景に視線を向けることで,右目は右手の指を左目は左手の指をそれぞれ独立してとらえ,それらが合成された像です。

この現象は,指の向こうにある背景をぼんやり見ているだけで左右の指が自然に寄ってくるので,簡単に楕円球を宙に浮かせることができると思いますが,うまく見えない人は次のようにしてみてください。まず,指を突き合わせた状態にして胸の前で準備しておきます。次に遠くの景色の一点を数秒間眺め続けます。目が慣れた頃に視線はそのまま動かさないようにして,腕をゆっくり上げて行き,目の高さに指を持ってきます。すると,指と指の間に楕円球が挟まっているのが見えます。さらに,視線を動かさずに指をゆっくり開いていくと楕円球が浮かんで見えます。このとき大切なことは,指を決して直接見ないことです。ちらりとでも視線を背景から指に移すと,その瞬間にできかけていた楕円球は消え去ってしまいます。ゆったりとした気持ちで,何気なく遠くを眺めるようにしてみてください。

ハート形

視線の位置を変えずに,腕を伸ばしたり縮めたりして手と目の距離を変えると,楕円球は横に長くなったり丸くなったりと変化します。また,指先を仮名の「ハ」の字の状態にしそこを通して背景を見るとハート形が浮かんで見えます。

この現象を最初に取り上げたのは,ほとんどの人が子供の頃に体験したことがあり,すぐにでも再現できるだろうと思ったからです。いろいろな人に聞いてみると,10人に1人くらいしか知らなかったのには驚いたのですが,とにかくこれは見やすい現象です。少し努力してこれが見えるようになると,今後紹介する亜空間のいろいろな現象も楽しめるようになると思います。